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インタビュー

車じゃなく、自分を選んでもらえた。だから、押し売りは一度もしていない。

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営業
続橋 和航さん

「日産だから」ではなく「福島日産だから」。車好きの私が社風を優先したワケ

就職活動の軸は、三つだった。人と話すのが好きなこと。車が好きなこと。そして、父の背中を見て育った「支える側になりたい」という気持ち。特にいわき市は車がないと行動しづらい。日常の足を支える仕事なら、その三つが全部生かせると思って、カーディーラーの営業を探し始めた。 「正直、個人的にはトヨタの方が好きだったんですよね」。トヨタ、日産、スバル、マツダ。絞らずにいろんなメーカーの販売会社を見ていた。その中で福島日産に引かれたのは、ブランドではなく、会社の中身だった。社長が若い。若手が活躍できる場がある。目標を立てて、ちゃんとそれに向かっていける。 「日産だからじゃなくて、福島日産だから選んだって形になりますね」。その言葉が、今も変わらない。

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他のディーラーは、即現場だった。けど福島日産は違った。

就職活動中に気づいたことがある。他のディーラーは、入社したらすぐ現場に出て、経験しながら覚えていくスタイルが多い。合同研修で一緒になった他県の日産販売会社の同期も、最初からどんどん営業として出ていく形だったという。 福島日産は違った。入社後まず二週間、みっちり研修がある。その後も月に一回研修があり、10月になってようやく営業活動を開始する。さらに翌年3月まで月一回の研修が続く。 「僕らが不安なところを、育成部の方がちゃんと取り除いてくれるんですよ。一個一個解決してくれて」。 半年かけて育ててから、現場へ。そのスタイルが、就職活動中から「ここだ」と思った理由だった。

ノルマはない。あるのは、目標と自分の意志だけ。

カーディーラーの営業といえば、ノルマ。そのイメージを持ったまま入社した。でも実際は違った。「絶対に達成しなくてはいけないノルマっていう古い考えは、福島日産には本当になかったんですよ」。 あるのは目標だ。目標を達成するために頑張る、という文化。達成できなくても、休み返上してやれという話にはならない。個人休もあるし、強制有給消化の月もある。土日休みたければ休んでいい。「仕事は仕事、休みは休みって切り替えできるのも、若手としてはいいところかなって」。そう話す続橋さんの表情は、どこか誇らしげだった。

朝に作戦、昼に電話、隙間に勉強。営業の一日は思った以上に忙しい。

「営業って、一日中商談してるイメージじゃないですか」と続橋さんは言う。実際は違う。9時半出社、9時45分朝礼、10時開店。午前中は来店されたお客様の対応がメインだ。点検や車検の枠は10時と11時が多く、営業と一緒にお出迎えして、ニーズをヒアリングする。 13時からは作戦ミーティング。翌日来店予定のお客様に対して、どんな提案をするか、何を深掘りすべきか。店長・営業・工場長で作戦を立てる。午後は来店対応と並行して、電話もかける。入庫が少ない月は一日10件から20件かけることもある。 その合間に車種勉強もある。「お客様から聞かれたことにすぐ答えられないと不信感が湧いてしまうので」。カタログを見て、ネットで調べて、人に聞く。新しい車種はどんどん出てくる。覚えることは尽きない。17時半に終礼、18時退社。

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まだ2回しかない。でも「人で選んでもらえた」その感覚が忘れられない。

仕事をしていて一番楽しい瞬間はどこか、と聞くと即答が返ってきた。「商談で、自分の魅力が伝わって。車の魅力プラス、自分がいいって思ってもらえて成約できたときが一番楽しいですね」。その感覚を心から実感したのは、まだ2回だけだという。1回目は、街中で見かけたノートが気になって来店した娘とお母様の組。カタログを見ながらワクワクトークをして、試乗でその驚きを引き出して、見積もりを作りながら雑談で深掘りして。必要なものは必要、いらないものはいらないと正直にアドバイスをしていたら、お母様が言ってくれた。「カーディーラーって押し売りしてくるイメージがあったけど、ちゃんと親身になって寄り添ってくれた」と。「人で買ってもらえた、そこは熱かったですね」。まだ2回。でもその2回が、この仕事を続ける理由になっている。

新規なら戦える。でも引き継ぎのお客様は、まだ振り向いてくれない。

今一番苦戦しているのは、店長が築いてきたお客様との関係構築だ。担当しているお客様の多くは、もともと店長や前任者が積み上げてきた信頼がある。来店しても「続橋さんを呼んで」ではなく、「店長を呼んで」となることが多い。「僕単体では、まだ響かないことも多くて」。 一方、新規のお客様は話が違う。もともと信頼関係がないからこそ、雑談をわざとして、ニーズを深掘りして、自分のスタイルで関係を作っていける。「誰とも信頼関係がない人との方が、僕は得意かもしれないですね」。 引き継ぎのお客様に振り向いてもらえるか。それが今、一番の課題だ。

ふざけても笑ってくれる。それがこの店の居心地のよさだ。

職場の関係性を聞くと、「関係性は結構良好だと思ってますね」と笑う。店長とも、もう一人の営業とも、冗談を言い合える。ふざけたら笑ってくれる。ボケたら突っ込んでくれる。「上司というより先輩後輩みたいな感じに近いかもしれないですね」。 プライベートで一緒に遊びに行くほどではないが、職場では常に話しやすい空気がある。社長も若く、若手研修には顔を出してくれることがあり、店舗にも出向いてくれる機会がある。「いつでも相談できる環境がある、っていうのが一番ですかね」。 気を使いすぎず、でも仕事はちゃんとする。そのバランスが、この店の居心地のよさだ。

頼られる人間になりたい。それが、この仕事を選んだ理由と同じだった。

これから先どうなっていきたいか、と聞くと、少し考えてから答えてくれた。「店舗でも、会社の中でも、お客様からも。頼られる人間になりたいですね」。 キャリアについては、管理職より現場にいたいという。「この会社でずっと働くのであれば、セールスマンとして動き続けていたい」。数字を追うだけでなく、お客様一人ひとりに寄り添い続ける営業でいたい、ということだ。 その言葉は、就活のころの自分と重なる。父が保険の仕事で人を助けている姿を見て、「支える側になりたい」と思って選んだ仕事。あのころの軸が、今もそのまま生きている。「支える側になりたい」と思って選んだ仕事で、今まさに支える側になろうとしている。「頼られる人間になれれば、結果的に成績も上がっていくと思うんですよ」。就活のころの自分に、今の自分が答えを出し始めている。