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インタビュー

整備士になりたかっただけで、会社はどこでもよかった。

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整備士
佐藤 直紀さん

整備士になりたかった。会社はどこでもよかった、あの頃の話。

就職活動で大切にしていたのは、三つのこと。「尊敬できる人がいること」「自分が成長できる場所であること」「技術を高められること」。いろんな会社を見ながら、最終的には人柄を中心に決めていった。 決め手になったのは、採用担当者との出会いだった。学校に来た菅野さんという人が、弱音を一切吐かない。ネガティブなことを言わない。とにかくポジティブに、プラスに考えてやっていく。「自分もそういう考えでやってたので、あ、この人のもとで働きたいかも、って思ったんです」。 会社を選ぶとき、「日産を選んだというより、福島日産を選んだ感覚でしたね」という。「まず周りをよくしていく、地域に愛される活動をしている。そういう考え方が、自分はすごく好きだったので」。

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つなぎ姿で話すと、お客様の顔が変わる。

入社前、整備士のイメージはこうだった。「手が汚れて、もくもく作業する職人みたいな感じ。お客さんとはあまり話さない仕事だと思ってたんです」。 実際は違った。車検ではお客様が来たタイミングでお出迎えし、気になる音や不具合をヒアリング。作業中はお昼ごろに電話で内容と金額を報告し、返却時にも整備結果を一から説明する。「受付から見送りまで、お客様と関わり続ける仕事だった」。 つなぎ姿で話しかけると、お客様の反応が変わるという。「ディーラーってどうしても民間より高いので、ぼったくられてんじゃないかって思う方もいるんですよ。でも整備士がつなぎで来て話すと、全然違うんです」。説明する人間が変わるだけで、お客様の表情が変わる。その手応えを、じわじわと実感してきた。

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朝イチの車検から、引き渡しの見送りまで。

「整備士って、一日中ピットにいるイメージがありませんか」と聞くと、苦笑いが返ってきた。実際は、車検を一日三〜四台担当しながら、ほぼ一日中動き続ける。 流れはこうだ。お客様が来たら営業と一緒にお出迎えし、事前見積もりの説明と、気になる音や不具合のヒアリングをする。作業が始まったらお客様に台車を出してお帰りいただき、昼ごろに整備士から電話を入れる。「こういう内容なんですが、進めて大丈夫ですか?お値段はこのくらいになります、って」。返却のときにも、整備結果を一から説明して、最後はお見送りまで。 「朝から晩まで、ほぼほぼお客さんと話してる感じなんですよ」と笑う。終礼では整備士同士でその日の疑問やクレーム対応を共有し、月に一度は店舗全員でロールプレイングもある。「整備士もロープレするんだって、入る前は全然思ってなかったですね」。

資格を取れば技術が上がると思っていた。それは半分、間違いだった。

就職活動のころ、「資格=技術」だと思っていた。菅野さんが資格をほぼ全部取得していたことも、その考えを後押しした。資格を重視している会社なら、自分も技術を高めていけると。 でも、実際に働いてみて気づいたことがある。「資格イコール技術っていう考えは、ちょっとあさはかだったかなって思ってたんですよね。結局それは、自分のやる気次第だなって」。 資格は入り口にすぎない。そこから先の技術は、現場でどれだけ向き合うかで変わってくる。入社前に思い描いていた「資格を取れば上手くなれる」という公式は、半分は正しくて、半分は甘かった。

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異音の原因を見つけた瞬間が、一番楽しい。

仕事で一番楽しい瞬間はどこか、と聞くと即答が返ってきた。「やっぱり故障診断ですね。異音とか、そういうのを見つけた時の感じが、なんとも言えなくて」。 どこから音がするのか、何が原因なのか。手がかりを一つひとつたどって、正解にたどり着く瞬間がある。「あったー、みたいな感じ。そのスッキリ感がたまらないんですよ」。 ブレーキ周りをバラしてハンマーで叩いていく作業も好きだという。力を使う場面に、独特の充実感がある。「整備でしんどいと思うことは、正直まだそんなにないんですよね」。大変なのはむしろ、お客様への言葉遣い。技術より、話す難しさの方が今は壁になっている。

和やかで、でもライバル。この職場が居心地いい理由。

店舗の雰囲気を聞くと、「ほんと友達みたいな感じです」という言葉が返ってきた。工場長とは旅行や山菜採りの話をするほど仲が良く、「他のところより仲いいかなって思いますよ」。同期とは店舗が離れているのでなかなか会えないが、電話は頻繁にしている。同僚とは休みの日には一緒にスノボや飲みに行くこともある。 ただ、職場は和やかなだけではない。同じ作業をするとき、スピードをめちゃくちゃ競うという。「友達感覚だけど、やっぱりライバルみたいな感じもあって」。先輩は後輩に負けたくない。その緊張感が、お互いの技術を引き上げていく。

5年で全資格を取って、後輩に全部伝えたい。

これから先のことを聞くと、すっと答えが出てきた。「5年あれば、この会社の資格を全部最短で取れるんですよ。まず一個も落とさずに取り切りたい」。 もう一つ、やりたいことがある。「後輩がまだ入ってきたことがないので、入ってきた時に教えられるレベルの知識と技術を身につけておきたいんです」。自分が教わってきたことを、次の世代にそのまま渡していく。そのイメージが、今の仕事への向き合い方につながっている。